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図書館、資料館に書き溜めてきた日記やSS(小説)を保管するところ。
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(2014.02.15 儀式場跡地の後日談集番外編、10日間寝込んでいた時期に見た夢の一部とその前後の独白。暗いです。書き溜めていたらしいテキストファイルをフォルダから発掘したので掲載。)


感情も衝動も抑えきれなかった。
……否、途中からはそれに任せていたと言っても、良い。抑える気すら、失せていた。
その結果が、コレ。

手も身体も真っ赤になった。

血も涙もなく、
酷いひと、

そっくり、そのまま、返されて、



***


 此処はどこ?

 暗く深い闇の中。

 真っ暗で何も見えない。
 ただ、そこに浮かぶ。
 なんだろう、冷たい。
 寒い。

 光も、温度も、そこには存在せず。


***


 聞こえる。
 あの黒肌の男の、
 或いはあの水晶に映し出された"負"の自分自身《醜い黒竜》の、声。


「血も涙もないのは――」

「――酷いのは、」

『お前――オレ――だろ?』


 ただただ、反復する。
 嗤われている。
 気が付けば、自分の身体は血に濡れていた。
 自分の? それとも、


 両手で耳を塞いだら、耳まで血で汚れた。
 何か、叫んだ気がした。


***


( たまに、闇の中で垣間見えたのは。
  白い光。
  温度。 ……確かな、人の温かさ。

  それが訪れる度、悪夢は消え去る。

  静かな眠りへと、誘ってくれた。


 ――時が経てば、また、悪夢は姿を現すけれど。 )


***


 殺してしまった。
 殺してしまったんだ。

 あの黒の槍を憎悪と殺意の血で濡らした。

 殺した。

 殺した。

 他人を嫌い、他人を憎む。
 そんな自分を嫌い、自分を憎む。

 ほら、血も涙もない。

 昔のオレのように――――


***


 わらって、わらって、
 自ら振るったモノで、身体が赤く濡れていった。

 そして、いつのまにかその赤い身体が崩れて落ちた。
 自分の足元から、血溜まりが広がっていく。
 痛い気がする。否、痛くなんてない。こんなの。
 あァ、酷ェ怪我。そうわらって。

 立ち上がれなくなった。
 って、ヤベェな、こりゃァ。動けねェじゃん。なんて呑気に思っていたら、
 ……ふと目の前に、人がひとり。見覚えのある姿に。
 オーイ。悪ィ、ちょっと手伝え――そんな風に相手へ言葉を投げかけた。

 けれど、その姿は振り向きもしなかった。
 アレ。聞こえなかったのかなァ。そう思って、また声をかけた。
 けれど、やはり見向きもせずにそれは消えていく。

 通りがかった他の知人にも声を投げた。
 仲間に手を伸ばしてみた。
 友人を呼んでみた。

 だけど。
 誰一人として、こちらを見もしなかった。
 血塗れで動けなくなっている自分自身を。誰一人として。

 暗い闇の中。
 確かにみんなそこを通って行くのに。
 地に転がっている自分を、まるで、最初から存在していないモノとして。

 そこで漸く初めて気付く――
 自分がこんなモノになってしまったから。
 昔のようなどうしようもないモノに成り下がってしまったから。
 だから――"独り"になったのだと。

 気付いた時にはもう遅かった。醜い笑みもみるみる消えて。弱々しく揺らぐ瞳に変わって。
 今の自分に戻ったって、もう、遅かった。
 冷たくなりだした身体が震えて、涙が沢山沢山零れて、

「っ、ごめ、ん、なさ……」

 紡ぐのは謝罪の。
 誰の? 何に対して?
 そんなの考えずに。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 考えもしない謝罪ばかり、零して、

 気が付けば其処に――自分の大切な人が、居る。

「あっ……」

 その人に手を伸ばした。真っ赤な血染めの手を伸ばした。
 けれど、離れていく。どんどんと、遠くへと、その人はいってしまう。

「ま、って……まって、」

 目一杯、腕を伸ばして、

「いか、ないで、」

 でも届かなくて。

「ごめんなさい、」

「オレが、 オレが、」

「おいて、かない、で」

「嫌だ……嫌だっ……嫌だ、……イヤ……」

 最早、うわごと。
 涙が溢れて止まらなくて、
 寒く、冷たく、暗く、

 ――やがて、そこに一切の人はなく。
 ただ独り。

 血も、涙も、消えていった。


 もう、何も感じなくなった。



***



ようやく、朧げな世界から帰ってきた感覚。
10日も寝てた。
心配も、迷惑も、かけさせてしまった。
いつも、服も包帯も綺麗なものになってて、飯も飲み物もあった事は、わかってたのに、何で今まで。

その上、逃げて背けて。言えなくて隠して黙って。吐けなくて何も伝えられなくて。
また、逃げて。甘えて。

赦せる、気も、しなくて、


ごめんなさい、

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