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図書館、資料館に書き溜めてきた日記やSS(小説)を保管するところ。
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その濁った黒い飴は、しょっぱかった。一体何度涙が染み込んだのかと言うぐらいに、最早辛いぐらいにしょっぱかった。
けれど、これは辛い物好きの自分にも耐えられないくらいだった。
痛いくらいのその味。そう、痛いんだ。痛い。
口の中どころか全身にその痛みが走るようで。
同時に流れこんでくる記憶は――――13年間。その最後で、真っ赤に染まって冷たくなって寒くなって。それが再び蘇って焼き付けてきて。
膝の力が抜けて、気持ち悪くてこわくて痛くて辛くて苦しくて苦しくて、涙がボロボロと零れて溢れて流れた。
息が出来なくなる。慌てて酸素を取り込もうとして咳き込む。
今もお菓子の国の現実ではゲームが繰り広げられている。取り戻さなければいけないのは自分の記憶だけではない。
必死に切り替えようとしながらも、また記憶は最初からループする。その飴が溶けきるまで、繰り返される。
段々と、ゆっくり――…… 何故だか、味も、徐々に甘味が混ざってきて――……
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