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図書館、資料館に書き溜めてきた日記やSS(小説)を保管するところ。
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「ええっ、家出るかもってぇ!?」


(目を丸くして驚くのはゴスロリのエルフ。目の前の抹茶猫が淡々と言葉を続けた。)


「貴方には長くお仕えしてきました。離れたくないのが本心。だけど、私は、あの人を愛しすぎてしまったようです」
「同棲は反対しないわよ。寧ろいいぞもっとやrごふん。…あたしの家じゃなくてあの子の家にするとわね……。大切な話し相手をこの家から引き離させるくらいに愛させるとは、罪な男ね、コタロウくんは……」
「というわけで、近々家を出ることになるかと思うので。お世話になりました」
「いやいや。また遊びにおいで? あと、困ったことがあったらすぐに貴方を呼ぶからね!」
「承知しました」


(そんな会話のひとこまがあったそうな。)

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船上パーティー。
打ち上げ、なんて喜ばしい気分にはなれなかった。最初は。
でも――――

平和になって本当に良かったと思う。
この街を守れて本当に良かったと思う。
愛おしい貴方達を救えて、本当に、良かった。


皆、私達の帰りを喜んでくれた。感謝、してくれた。
あの戦いがあったからこそ、今の賑わいがある。
生きて帰ってこれたからこそ、今の風景を見ることが出来た。
ライチ殿におかえりを言う事が出来て、珠殿という戦友も出来たのだから……。
リオル殿の言葉が凄く嬉しくて、ユベルティ殿も無事で良かったし、広場で戦っていたというナツメ殿ともお会い出来て、コタロウとは、同棲の話とか、…………。


私の結論。
あの戦いは、あの結果は、あの怪我は、無駄ではなかった。そう信じたい。
一週間前の、あの戦いがなければ、今日この平和な日常を生み出すことは出来なかった。
私は、この街に帰ってこれて良かったと思う。
亜人狩りで、良くも悪くも私は変わった。そんな気がする。
憎しみだけに駆られて生きていた昔とは違う。守るべき者も出来て、素敵な友人も出来て、今、とても、私は幸せだ。


ありがとう。本当にありがとう。
みんな、本当にありがとう。

私を変えてくれて、私と共に戦ってくれて、悩みも聞いてくれて、
貴方達が大好きだ。愛おしくてたまらない。だから、守ろうと思った。
本当にありがとう――――


(所々に涙の滲み)


あの手紙をくれたのは一体だれだったのだろう?
内容を見るからしてブラッキー殿かとも思ったけど、筆跡が違う。
手紙のおかげで、色々と再確認出来た。
お礼を言いたいものだが……。


〔ヨハネ、ライチ、カルマート、リオル、扇風鬼、(ミハエル)、明星 珠、(レーラ)、(ドロシー)、ラファティ、ユベルティ、コタロウ、(グリーフ)、(ヴェルデッタ)、セシリア、ナツメ〕

(治療を終え、ロビーに戻ってきた頃には詩人のエルフも黒のエルフももうおらず、そこらへんの長椅子に座って会計を待っていたところ……。)


「ん?」


(蝶の折り紙が猫の元へ飛んでくる。それを受け取り、開いてみると。)


「……」


(読む。言葉は明らかに自分へ向けての。黙々と読んで。)


「『経緯』……」


(何故戦ったかと問われれば。決してなんとなくではない。この街を守る為、大切な人を守る為、全ては正義と忠義の為に。)


「評価、か……」


(経過。評価。周りはどう評価した? 詩人とはきっとカルマートのこと。彼は感謝していた。その評価をどう受け取る?)


「評価、なぁ……」


(高原にいたメンバーに会ったら、聞いてみるのも手か? 読み終えて、ひとつ息が漏れる。)


「無駄、じゃなかったのかな…?」


(結果。生け捕りに失敗したその結果だけを見れば、無駄のように思える。でも、信念を貫こうと、正義の為に戦おうとして、そしてそれを感謝して貰えたのだから…………。)


(打ち上げパーティのことを聞いたのは診療所から出た後のこと。)

帰ってきて早速診療所へ。
イルクセルで応急処置はしたものの、きちんと見て貰わねば。
情けないものだな、人前で泣いてしまうなんて。
大食い大会のときにいたカルマート殿が来て、ブラッキー殿も来て……。

沢山泣いた。
どうしてこうも最近泣いてばかりなんだろう? 涙は見せたくないはずだったのに。
情けない。本当情けない。

死んでおしまいなんて嫌だ。
生きて償って貰いたい。
本当は、殺してしまいたいぐらいに憎い犯罪者たちだが、それでも――――
奴等には法による重い裁きを下して頂きたい。
でも、"アイツ"だけは。"アイツ"だけは、私の手で裁きを、この手を血で濡らしてでも…………

嗚呼、私に感謝なんて、感謝なんて、する必要ないのに。
まともにクランの者を捕らえることも出来ず、闇雲に刀を振るうだけで終わったような私に感謝など。

無駄な怪我。
そうは言ったが、でも、街を救う為に頑張ったなら、戦ったなら、それは、無駄な怪我でもないのだろうか?
よくわからない。

相手を選ぶ暇はない。犯罪者は片っ端から捕らえる。
犯罪者は皆敵。


……自分の道、見つかると良いな。


〔カルマート、ブラッキー〕

今回の戦い、私は役に立っただろうか?

何か、出来ただろうか?

ただ、闇雲に刀を振るうだけで終わったような気がする。



誰一人として私は捕らえることが出来なかった。

ディシーブも死んだ。

「生きて捕らえる。」それも無理で。
目的は、達成出来なかった。



嗚呼。

皆に顔見せ出来ない。


〔ディシーブ、ライクルス、セシリア、六枚羽根、明星 珠、メニイ、ヨハネ、異端の錬金術師、(アスカ)、(セシル)、ジョッカー、(ヤーゴレット)、ラファティ、コタロウ、ライチ、ミカ〕

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