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図書館、資料館に書き溜めてきた日記やSS(小説)を保管するところ。
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リハリビ。なかなか上手く行かない。
握るとふと思い出されるトラウマ。苦しくてたまらない。
いっそのこと、その刃を腹に突き立てれば死ねる? いや、死ねるだろうけど……死んじゃダメだ。
生きたくないけど、死んでもダメ。苦しい。辛い。

そんなところへユベルティ殿やジュリエッタ殿……いや、ジュジュとナツメ殿……間違えた。ナツメが来て…………。
どうしてだろう。いつも急に押し寄せてくる、幻覚と幻聴。
恐怖が消えない。もう一週間以上経ってるのに、尚。
これはずっと残るのだろうか? ずっと怯えているままなのか?
毎晩のように夢に見るし、起きていてもその光景を思い出すことだって――。
怖い。やだ。怖い。

強くなれるだろうか? もっと優しくなれるだろうか?
最近は色んな事が重なって、泣いてばかり。そんな私でも。
守りたい気持ちは確かにある。この街を、街の人を、友人を、恋人を。
大切な、人々を守り抜きたい。その為に私は――――強くなりたい。

たとえば、逆の立場で私が彼に殺されそうになったら。
そんなことがあっても、私は嫌いになんかならないだろう。変わらず、好きなままでいるはず。
……そういうことだったんだよ。
でも、殺されかけても尚、愛せるなんて、不思議なものだ。


森の奥にある、あの泉へ行こう。
ユベルティ殿もジュジュもナツメも一緒に。
大丈夫だ、きっと。行ける。
行ってみればわかる。立ち向かうんだ。トラウマは、完全には消えないかもしれないけど、それでも、何のきっかけもなしに幻覚や幻聴が現れることはなくなるかもしれない。
この恐怖を少しでも打ち消すには行くしかない。
希望を持て。もう一度、彼を愛する資格を、平和の為に戦う資格を、取り戻させて――――。


(追記。)
ジュジュから手紙。
土曜日にピクニックに行くそうだ。
気分転換に良いだろう。
でも、行けるかはその日にならなきゃわからないな……。
行きたい。どうにかして。


〔ユベルティ、ジュリエッタ(ジュジュ)、ナツメ〕

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良かった。彼が目を覚ましてくれた。
嬉しい。でも、彼を長く眠らせることになったのは私のせいだ。
「人殺し」という事実は消えない。彼が目を覚ましても、「血の惨劇」は消えやしない。あの光景が頭から離れない。彼を刺した感触が今でも蘇ってきそうで。
怖い。怖い怖い怖い怖い怖い。 (震えた字で。)


どうしてそんなに優しくしてくれる?
どうして嫌いにならない?
どうしてまだ「好き」と言える?


嗚呼、やっぱり難しい。わからないよ。こんな人に成り下がっても尚、彼が好きだという気持ちは消えない。
「好き」って言ってくれるから、それに甘えて「好き」って言ってしまう。
もう、愛する資格なんて、私には――――
いっそのこと、消えてしまった方が、楽だろうに。こんなに辛いこと、なかろうに。

父上、母上、こんな「人殺し」でも私を愛してくれますか?
天から、何を思って見ていますか?
ナツメ殿が言ったように、どの人にも心があるように、あの白狼にも、人の心はあるのでしょうか?
私みたいな「人殺し」にもあるのなら、あの白狼にもあるのでしょうか?

嗚呼、苦しいな。
どんなにもがいても駄目だ。
共に歩むことが出来るのだろうか? また、一緒に。
法は私を裁いてくれない。私は「法から逃れた犯罪者」じゃないか。嫌だな。そんなのには絶対なりたくなかったのに。一番なりたくなかったのに。一番憎い相手なのに。
結局、自分が憎いんだな。憎しみに駆られて生きるような私なんだから。
人生の最終目標はアイツを殺すことだろう? 今回の惨劇がなかったとしてもどちらにしろ「人殺し」になってたんだ。
じゃあ、変わらないな。早くに「人殺し」になっただけじゃないか。


凄く、先が不安。
生きていけるかな。どこかで死ぬんじゃないだろうか。
助けてくれたエルフ殿もブラッキー殿もセシリア殿もコタロウもヨハネ殿もナツメ殿もみんなみんな、慰めて励ましてくれたけどさ……なかなか気持ちが変わらないよ。そのときは変わっても時間が経てば戻っちゃうよ。嫌だよ。嫌だよ。嫌だよ。


嫌いじゃない。愛してる。
でも、そんなことを言うのも、許されない。それは甘えになる。
彼に言われたから、償いの第一歩になるからと、言ったけれど。
もう次は、言えないかな。
キス? ――――さぁ、ね?


私は、一人じゃない。
一人じゃ、ないんだ…………。


〔声(コタロウ)、ヨハネ、ナツメ、ダートラディア〕

お見舞い。
面会に行く前に教えて貰ったブラッキー殿の「魔法」を使う。
魔力を使わないその魔法。効果が出ますように――。

祈り終わったところでアンリ殿と会う。
どうやらドジって怪我してしまったらしい。私も同じような感じで怪我してしまったな。ある意味ドジったことだ。
コタロウのことは、友人とも、恋人とも、呼べない。もう……。
だから、どう答えれば良いか、迷った。
励ましてくれて、ありがとう、アンリ殿。頑張らない、とな。
彼が目を覚ましてくれるまで傍にいなければ。

謎の気配と音。白い姿で赤い瞳だった。
何だろうか? こちらに向けた、怒りと怨みが込められた視線。
怨まれるような覚えは……いや、ないとは言い切れない、な。


面会。
やはり、彼は眠ったまま。
「魔法」を使って、暫し見守ったあと、杜若の花を花瓶に入れて、私は去る。
杜若の花言葉は「幸運」。彼に幸が訪れるように、祈って――――。
大丈夫さ、きっと良くなる。元気になる。その為の「魔法」じゃないか。
言葉は力になる。祈りは力になる。大丈夫と言っていれば、きっと。
目を覚ましてくれる、その時まで、ずっと傍にいよう。
もう一度あの笑顔を。私の前では見せてくれなくても、せめて他人の前では。
何も望まない。元気になってくれればそれで良い。
あんなことをしておいて、また「付き合ってください」なんて言わない。もう、付き合うことなんて叶わない。だって、「人殺し」だもの。
彼には多くの友人がいる。その人達が支えてくれれば良い。
私のやるべきことは、起きるまで傍に居てあげて、起きたら謝ること。その後出る幕はない。

「人殺し」なんだもの。
そのことに代わりはない。
もうこの過ちは正しようがないのだから。


〔アンリ、声〕

コタロウを療養院へ運んでからの一日半。
とても長かった。まるで一週間経ったような、そんな感覚で。
でも実際には一日半。長いようで短い。短いようで長い、その期間。

血だらけの服でずっと街を彷徨って、路地裏で眠って……
昨日の惨劇を夢に見て目が覚めた。まさに"あの悪夢"と同じだ。
またこうして夢に見て、起きるたびに憎しみと悲しみに駆られるのだろうか?
そう思うと怖いけれど――――

ペティットのみんなは優しい。優しすぎる。
悩んでいても、「人殺し」と成り果てても、どんなときでも、彼らは手を差し伸べてくれる。私が必死で拒絶し、幻聴すら響く状況でも、彼らは諦めずに。
私を正気に戻してくれたのは、彼らのおかげだ。
人は温かい。その温もりを久々に感じた気がした。
嗚呼、書いてて涙が止まらない。


(紙をところどころ湿らせながら。)


好きだ。この街の人達は温かくて、好きだ。
大好きだ。

今度、コタロウのところに行こう。
彼の目が覚めたら……まずは謝ろう。
それで嫌われたって構わない。「人殺し」と罵られたって構わない。寧ろそれで諦めがつくだろう。
思いを伝えられればそれで良い。せめて、謝らせるだけでもして欲しい。
その後は、殴ってくれれば良い。どんなことをされても、私は受け入れる。
それが友人で、恋人のつとめ。いや、もう友人ととも、恋人とも、呼べないかもしれないけど……。

みんな、ありがとう。
死なせてしまった獣人の為にも、大切な友人たちの為にも、私は生きる。
それがせめての罪滅ぼしだ。

そして、迷いがなくなったら、そのときは――――


〔(キラカ)、ブラッキー、セシリア、猫〕

(その日、手記に文章が綴られることはなかった。)




(猫の頭の中でぐるぐると巡っているのはあまりにも大きすぎる罪悪感。そして、「人殺し」という単語。)








(寝れば、その悲惨な光景が夢に出てくる。悪夢だ。すぐに飛び起きて、涙を溢れさせる。)








(猫の精神は、どうしようもないくらいに崩壊していた。)




〔ドロシー、浪人、コタロウ、(キラカ)〕

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