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図書館、資料館に書き溜めてきた日記やSS(小説)を保管するところ。
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9/2

全体訓練の前に隊長と手合わせ。
オレも暫く実戦をしていなかった気がする。
槍はごわごわさんとの稽古もあるし、今回は剣でお願いを。それで全体の時は槍でチャレンジしてみたいな。
訓練用を使わずとも、魔法で斬れないようにする事が出来る……やっぱ凄い、なぁ。これで怪我の心配もなくなった。
人間は魔法も身体能力も両方活用できるから、そこが強みだと思う。魔法剣士っていうのも、みんな人間だった気がする。獣人は魔法が使えないからな…。そして相手の魔力というのもわからないから、脅威でしかない。
マクナーリアも鍛錬に来てて、タッグを組む事に。明け方から今まで鍛錬し続けてたヤツがいるってのには驚き。流石にオレもそこまで長時間は出来ないな。槍の稽古を予定しているっていうのも報告。ごわごわさんの他に槍使いといえば……レインから聞いたナツメ、って狼の人だったっけ。確か前のページに特徴はメモしてた…よな。まだ、会えてないや。

手合わせの結果は、負け。
やっぱり隊長には、敵わなかった。とても。
最初、オレが隊長からどうぞと言った時点で、もう、こちら側が不利になってしまっていて……負けが確定していたのかもしれない。それくらい隊長は戦術の作り方が上手かった。マクナーリアと二人がかりでかかっても、最後には一緒にやられたんだ。
一つ一つの動作も、話も、全て、意味があって、戦い方の内。本命の対象というのものから注意を逸らすのも、上手い。利用の仕方も。隊長が姿を隠す魔法と同時に隠された6本目の土の槍。すっかり、気付かなかった。
大剣の一撃は重く、籠手の両腕で受け止めるのも、きつい。飛び越える力も凄い。オレの姿勢が低かったから飛び越えやすくもあった、らしい。そのオレの状況を使って……マクナーリアの放った魔法との同士討ちも狙われた。そこをも利用されたんだ。
自分の状況も、相手の状況も、利用する。全て使う事で……種族間での能力差も補える。 そんな、隊長の戦術。
相手に先手を譲らない。それは、きっと、どこにでも言える事。戦いだけじゃなくて
譲った時点で、場合によってはそこで負けが確定してしまう事にもなるんだ。良く、解った。
力だけでは敵わない事も、勝てない事も、ある。上には上がいる。だから、戦術。戦いの組み立て。状況を作る、または利用。或いは……相手の戦術を打ち壊す。
どこでも、考えて行動をしなければ。変わる事はない。
隊長を超えられる日なんて、あるのだろうか。とても…考えられなかった。隊長が隊長でなくなる日、も。ずっとバートレット隊長がそこに居てくれるような気がして。でも…… そう、なんだよな。 それでも、想像が、出来ない。
オレはまだまだ、だから。
魔法も…唱える言葉や動作があれば、内容次第で予測は出来なくもない。少なくとも、警戒する事や身構える事は、出来る。けれど、それこそ突拍子もなくいきなり発動するようなものは……避けようがない。
相手の行動、考えの予測。利用。強く、よりも、賢く。頭を使って。考えて。
凄く、凄く、勉強になった。実戦の中でも、そういう風に出来るように。もっともっと、頑張らないと。期待にも応えられるように。

いつのまにか観客席の方にごわごわさんがいたり、だけど隠れてたり、アイズが回復に来てくれたり。
っつーかごわごわさんもアイズも、いつからいたんだ……? ずっと見ていたなら、二人も勉強出来たかな。
次の訓練では……少しでも、上手くなっていれば良いな。いや、上手く立ち回れるように、しよう。


【バートレット、マクナーリア、アイザック、ギトルーザ】

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8/30

8月も終わってしまう。
夏が、終わろうとしている。
何だか、寂しいな。とても。 去年も、今年も、沢山の想い出が詰まった季節だ。今年は、幸せも、多かった。
去年までの自分は、なんて大馬鹿なんだろう。日記を見てみると、笑ってしまうんだ。あの時のオレに。
季節が一巡り。これから先の秋や冬、そして春、には何が待っているんだろう? 予想なんて付くはずもない。
らしくない気持ちだ。季節の終わりを寂しく感じるなんてさ。……切ない、なのか。もっと、らしくない。

ごわごわさんも夕陽見てた。ビーチボールはごわごわさんが遊んでた……じゃなくて、落し物だったみたい。
痕跡から持ち主探し。えーと……そうだ、プロファイリング! 尖った爪で引っかかれたような跡があったけど、ボールは破れていない。普通のとは違った素材?みたいだ。そして、B.Nというイニシャルが書かれてた。
恐らく、爪の尖った獣人のB.Nさん。そこまでは判ったが、正確には誰のものかは検討は付かない、と思いきや、まさかのベルナート。ってごわごわさんが。確かに、イニシャルは合ってる……。あいつはげんこつ食らわされたのだろうか、あの後。
サボり魔らしいベルナート東のニンジャ疑惑。サボりに行ったと思いきや、気が付いたらいるらしい。…どういう事なんだ…!? あんにゃろー謎すぎる。
後、手紙も確認してくれたようだ。教え子から槍を取り寄せるんだって。蒼の槍。どんなものだろう? 楽しみだ。
基礎は大事だよなっ。力には自信アリだぜ。後は構えとか扱いとか経験とか! 実戦経験も、もっと積まなきゃだよなー…。いや、あんまりドンパチは起こらない方が良いんだが。
クレイモアはでかい剣。ハルバードより前にごわごわさんが使ってたらしい武器。けれど、無理矢理そのハルバードを使わされるようになったようだ。
柄の長い武器は近づかれたらおしまい。攻撃のしようがない。だから、籠手や剣や拳銃もブーツの刃もライトも。使えるものはたくさん。上手く活用しなきゃだ。
近距離の方が狙いやすく、当たりやすい。確かにそうだ。ヴァイスの戦略、初めて知ったなァ。
ショートヘアごわごわさんもありだと思ったけど、奥さんが好きだったなら、な ……でも娘さんは嫌らしい。ロン毛ごわごわさんはデフォ。あとタテガミは防具っぽくもなるらしい。便利だなァ。  ごわごわさんの三つ編み  やべ、想像したらまた笑いそうどうしよう
あの時も噴きそうになってたのこらえてたら、調査書300ページ分書けって…!!! 強盗事件と闘争痕調査と器物損壊事件のと…… 無理だろ!? 無理だって!! 無茶ぶりにも程があるよ!!

ごわごわさんと話しているところ、リーアに乗ったアイズを見かけたから声をかけてみる。
休みなくなるかもって言ってたけど、出張はなくなるって。良かった…! 一緒に仕事出来る機会増えるかな?
けど、やっぱり顔色悪いと心配になる。無理するなつったら、逆にオレの方が無理するなよって言われた。大丈夫だって、問題ねェって。倒れやしねェっつの。…何だか微妙に信頼されてない感…!!
しかし。あの。…………アイズが、まさか、ベルナートと同じく、隠してるとは、思わなかった。
一瞬不安になった。オレじゃ不満なのか。と思ったら、勘違いだった。良かったけれど、でも、勉強の為とはいえ、隠れて…… ……勉強か。れべるあっぷ…
うっかり仕事の話を伝えていなかった。ルインとの交渉、マーシレスの実態調査をして問題があれば、アイズ班長の一班で本格捜査。隊長からも説明受けたみたいだし。名前以外に情報がないから、交渉へ赴くんだ。
大丈夫。何かあったら勿論相談するしよ。
キリイの親父さんの話、も。ほんっと、痛かったんだからな、あの拳。…懐かしいな。アイズも最初はあそこの部隊にいたんだよな。で、オレは所属はしてなかったけど、そこの部隊長である親父さんに徹底的に鉄拳食らいまくってたワケだし。だからこそ、アイズとも関わるきっかけ、話すきっかけが出来たと思っている。本当の本当のいっちばん最初の第一歩は、あそこから…始まったんだろうな。 また、親父さんのところに墓参りでも、したいな。キリイとも最近会ってないや。…報告、まだしてなかったけか?
今なら両親に感謝する。もう、自警以外に出来る仕事…やりたい仕事なんて見つからないよ。行ける場所なんて。オレの居場所は、此処って決めたんだ。ずっと居たい。
全部解決したら。故郷帰れるようになったら。それ以降もアイズがこの街で過ごせるように。オレもお前の家族説得する。それまでにオレの交渉術ってのも上手く出来るようになっていれば良いんだけどなぁ。

こないだ隊長のデスクに相談についての手紙を置いておいたけれど、丁度お会い出来たからその場で相談内容を。
ルインとの交渉場所について。隊長について聞かれた時の対処法。
ルインの退路を作れるところ、警戒を下げる為。しかしながら、罠があるかもしれないという緊迫感も同時に。高すぎず低すぎずの警戒心を相手に。
裏通り辺りが良いのだろうかと思ったが、裏を歩くならば自警という身分は隠した方が良い、と。…わりと、普通に制服で裏通り歩いてた事あったよな……次からは気を付けよう。というか、裏通りにいるっぽいマーシレスの捜査では――ちょっと今度実家行こう。どうせすぐ近くだしな。サイズ合ってるかな、あの服。
しかし考えてみりゃァ、何も街中じゃなきゃいけないなんてルールはない。関係ない人に迷惑かからなさそうなところ。あまり人気のなさそうな… それなら……  場所の候補が上がってきた。
隊長について聞かれたら、強気で。…隙を見せたら、いけないだろうな。
臨機応変に。考えて。行動を。
相談出来て良かった。方向性は決まったから、後は手紙を。
オレの顔は不良面みたいだ…… 強面、とは違うんだな。いやまァ、それだけオレも変化、したんだよな? あれ、元から不良面、だったか?
第六捜査隊での戦闘訓練。やりたいやりたい! 隊長やごわごわさんとは手合わせした事なかったし……アズはどんな風に戦うんだろう? そういや、最近新しく入った人もいるって聞いたな。これからもメンバー増えていくのかなァ。
全体での訓練前に。とりあえずルインとの交渉が終わった辺り、ごわごわさんに教えて貰おうかな!
最後に隊長にまで300ページって言われた…!! 300ページって…!! できませんってばああ!

飛んできた蜂。真っ先にあいつだって、解るんだ。どこか、嗤っているかのような、そいつ。
その蜂が落としたもの。前みたいに不用意に触ったりはしない。魔力持ちのアイズが解析、けれどそれらしい力はなさそうと。
落とした欠片についていた紐をアイズが引いてみたら、クラッカーのように音がして、紙が舞って。
あまり待たせるものじゃない、そんな事が書いてあった。何か、悪いな……。早く、手紙書かないと。
しっかし、何で、わざわざクラッカー仕掛けにしたんだ? 音がした時は吃驚したが、アイズにも怪我はなく。攻撃的なものは、なかった。
切羽詰ってる、というより、退屈なんだろう。あいつの焦るところなんて、見た事ない。

オレ次第。
……ああ。 交渉は、上手く、行くか。どうか。どこまで情報を引き出せるか否か。
わからない ……なんて、言っている場合じゃない。
やるんだよ。やれるだけ。

そういや、ごわごわさん、なにか聞きたそうな顔をしていたよう、な……?


【ギトルーザ、アイザック、バートレット、蜂】

8/26

大会の時にマクナーリアからも調子伺ったけれど、本人の顔も見たくてリコスの見舞いに。仕事は早めに切り上げ。
商店街まで外出に付き添う。車椅子を押したのは何気に初めてだ。
事件の犯人が連行されたというのは詰め所でも聞いた事。だけれど、企てた理由は知らぬまま。調書でも漁ればわかるかもしれないが。

リコスは怪我をしていた。だが、もうすぐで治るようで、そして退院もまもなくと聞いて安心。
オレが初めて見舞い行った時はあんなに拒んでいたけど、今は明るく元気になった。いつものリコスだ。
マクナーリアから大会の事を聞かされたり、スイカも貰った様子。美味しかったなら何より。どうやらラミアまで聞かされたみたいだ。まァ、カオス、だったモンなァ。
独りじゃない、とはっきり言い切る姿。以前のは本当に術とやらの影響だったのだろうか。それとも、術とは関係なく…… だったのかは、解らないけれど。でも、こうして今、みんながいるって解ってくれたならば、良かった。

ヨハネも花水晶へ運ばれたようだから、あの後が気になって。知らないかと聞いてみたら、今朝一緒に本人と遊んでいたらしい。
あいつも元気になったみたいだ。確か、術者が気絶するかすれば釘が吐き出される、って、ヴァイスも昨日言ってた、もんな、そういえば。
無事で、良かった。

リコスがアイス食べたいって事で。リコスはイチゴで、オレはコーヒーの味。 買って、戻ってくればオレと同じ年代くらいの学院生と遊んでいた。あいつらは…… いや。ちゃんと顔を見るまもなく行っちまったし、な。
海水浴に行きたい、つってた。傷が治れば行っても問題ないと思うんだよな。やっぱり折角の夏だ。楽しまなきゃ。包帯も明日には取れるつってたし、大丈夫だろう。

犯人達の動機。
リコスが勝手に故郷を飛び出し、新しいこの街で友人を作っていたのが許せなかった、と、リコスの口から語られた。
どうも昔、事件があったらしく、そこで弟を守れず死なせてしまったのだという ……そんな、過去があったなんて、知らなかった。
大切な誰かを失う恐怖。解りすぎる。守れずに、目の前で死なせてしまった―― オレだって、そうだったんだ。
だから、力を求める。もっともっと守れるようになりたいって。 魔法の扱いが未熟だった為に守れなかったと言うリコスも同じ気持ちだったんだろう。
でも、10歳で一人、飛び出してしまうなんて、やっぱり無茶だ。心配もするし、不安にもなる。寂しくてたまらなくもなるだろう。オレが親や友人だったらきっとそう思う。
両親とも、今は連絡を取っているみたいだ。つい最近、街に来たようだし。それに従姉のマクナーリアもいる。
リコスに襲い掛かった幼馴染達は、やはり心配だったようだ。そして、寂しいと一人にされたとも。そこから、嫉妬に変わっていった、という事になるのだろう。
最初から話し合っていれば。争いになる前に話していれば。あそこまでの事件にならずに解決した、かもしれない。
対話がどれだけ大事か、なんて、何度も。「話し合って仲直り出来れば、怖い事もなくなるのに」そんな事をリコスは言っていた。……その為の、仕事なんだ。道は、そこだ。

誰かを死なせてしまった事のある人が、友人を作るのが変ならば。
一体、どれくらいの人が変になってしまうんだ? オレも、他の人も。多くの人が変という事になってしまう。
だから、それが変なんて事はない。当たり前の事だ。誰だって、作りたい時は作るだろうから。出来る時は出来るから。
守れずに死なせてしまう事もあれば、自ら殺して死なせる事もある。人を死なせるってのは、その二つがある。リコスが言っていたのは前者なんだろうが。 …あいつに言うのは、少し残酷だったか。

リコスの故郷はあのサマーカーニバルが行われた、先日行ったばかりの街、リリアンドルの近くだったみたいだ。
「リアリンコリア」魔石の鉱山とかがある街。ペティットとも取引をしているっぽい。
リリアンドルの七色蛍は、あの霧の森にしか生息してないかつ、あの地域でないと長生きも出来ないらしい。やっぱり、梟も森に棲んでいるようだ。
来年は、マクナーリアに連れて行ってもらいたいと言っていた。サマーカーニバル、行けると良いな。オレも来年行きたい。またアイズと旅行で。

七色蛍は魔法の色……
あの歌はパレードで歌われていたものだったな。


【リコス】

8/25

自警の面々と賞金稼ぎがリヴォの包囲網を作るとは聞いていた。
自警が賞金首を捜して一斉捜査……そういう試みをやるってのは初めて聞く気もする。オレの記憶の中では。
協力しあうのは大事だよな……つっても、衝突してるとも聞くし。だから、仇討ち、って、どうなんだって思うんだが。やっぱり、街の人とも仲間とも協力しあうのってとても大切な事だと思うんだよ。

ヴァイスも出動したって聞いたし、現場へ来てみれば。街の出入り口では激しい争いをしていた。火事の跡だとか、建物が倒壊した跡だとかあって。……戦ってるのは、みんな罪もない市民達。街の、人達。
何だってこんな事になってやがんだ? ……リヴォが、やったらしいとは後から聞いた事。…生きている人も、血や釘で操れるのか。
リヴォが逃げて、一部の人たちが追っていったという方向――林の事を聞けば、オレも後追って。どうやら、そっちへ行った制服着ている姿……自警は一人だけだったみたいだから。それがヴァイスだったワケだが。

ずっと走りっぱなし。息も多少は切れる。その場に居るのは当の賞金首除けば、みんな知った顔。ヨハネとマクナーリアは昨日大会で一緒したばかりだ。後、あの詰め所の事件の当事者でもあるイザヨイとヴァイス。
丁度、リヴォを追い詰めた様子。だったが、本人は何か泣いて叫んでいた。ヴァイスの問いかけも聞こえてなさそうだった様子。
ヴァイスは銃を向けている。マクナーリアからは憎悪も孕んでいるように聞こえた怒声、剣先をリヴォの胸へ突きつけていた。……憎悪で、人を、殺してほしくない。 取り返しが付かなくなる。…止まってくれて、良かった。殺すか殺さないかじゃなくて、それに対する感情の、問題なんだ。
心臓に釘が突き刺さって死ぬ。あまりにも、不穏な言葉だ。それだけでもう嫌な予感がした。そしてその直後に、ヨハネの首筋に着いていた血が、釘になって、潜り込んで、
ゾッとした。 ヴァイスの話だと、本当に心臓を狙って釘が身体の中へ潜り込むという呪詛の類。ヤツの血に触れて、その呪文を唱えられたら最期。 …とてつもなく、寒気が走る。半端ない寒気、悪寒。身の毛がよだつっていうんだろう、これは。
その間に、リヴォは逃げ出した。追う、のだが。
釘が入り込んでしまったヨハネはマクナーリアが花水晶へ運ぶと言って、馬を走らせて行った。無事を、祈る。途中、謎の叫びが聞こえていたが。何だっけ…フ、なんとか、だったか。
もし血を浴びたらこれで洗え、って、ヴァイスが水筒を渡してくれた。代わりに、オレは拳銃を。……そうだ、ラクリモーサの脱獄事件の時も、貸したんだ。あの時はあいつはまだ罪人の立場だったが。二度目か。
いつのまにか、あの日からも半年経った。ヴァイスはこうしてオレらの仲間になって、ラクリモーサは改心して、出頭もして。凄く、変わった。

どこまでなら、何回までなら、騙されても許せる? わからない。
実際に、話をしなきゃわからない。 ラクリモーサにはあの事件で騙された。だけど、話をしているうちに許せたんだ。人を救おうとして殺していたあいつは、再会した時点で変わっていた、もう改心に近づいていた。話してみなければ、わからないんだ。
殺しは裏切りになる。そう、約束。

リヴォは、崖を前にしても飛び込んで、濁流の中へ。 どうなったかは、わからない。
ただ、自ら、断崖絶壁へ飛び込んだ――…… 思い出してしまう。違う、ヤツは、賞金首だ。 だが、人であって、金、ではない。1300万Gと呼ぶな。
金を出しているのが自警団であっても。何だか、な。複雑だ。
結局、逃げられた。
もっと早くに来れば良かった。もっと早くに。
しかし、イザヨイはまだ怪我治ってなかったじゃないか。無茶、しやがって。協力は助かる、けど。

全く人の話を聞かない。交渉の余地も何もない。定めた「道」が通用しない。そんな相手が居たら。
問答無用で捕らえる。か、殺すか。
殺られるか殺るか、常にそんな距離で対話と交渉をするのがこの隊だろう。
オレの考えとしては、殺すのは最終手段として残している。ヴァイスの言う通り、感情が絡む。 …何もかもが終わる。もし、本当に本当に更生の余地がないヤツが居たならば。終わらせるべき、相手も、今後出てくるの、かもしれない。が、そんなのは今はわからない。
きっと、懇願には弱いんだ。「殺さないで」と、目の前で泣かれたら。 それに動揺した隙に、 なんて。十分、あり得る気がする。
罪を見逃す選択肢は、ないが。
中心、なんてほどのものじゃない、オレは。あの考えを、道を、見つけるまでに、沢山の話があった。仲間、友人、市民、犯罪者、色んな立場で関係の人達と。アイズも、そのうちの一人。二人が中心…か。
この第六捜査隊でずっとやっていきたいのは、確かな気持ち。良い部下で相棒で仲間で。
盾と、剣。どちらもあってこそ。協力してこそ。 昔は良く、猛虎隊が気に入らない、なんてつってたけど。それは隊を良く見もしないで、言ってた事。
今なら解る。盾も剣もどちらも欠かす事は出来ない。そう思う。

その猛虎隊の制服カラーは見てたけど、胸は見てないって! …凄くデジャヴ…!
腕も足も怪我してしまった、ようで。護衛や支援が、難しそうだ。交渉で、武器を取る事はないと思いたいが、きっとそん時の流れ次第だろう。決裂した場合は、解らないし。
距離を取った状態ならば、ルインとの交渉は行けるかもしれないって。いやらしい戦い方、って何だろうか。しかし、マーシレスの捜査は、困難そうだ。
……どうするか、隊長と相談するべきか。手紙を書く際についても、オレ一人じゃ判断が付かなくて聞きたい事はあるから。難しい、なぁ、本当。そればっかり言っている気がするけれど。

詰め所まで帰る道中、ヴァイスの伝え石からの声には聞き覚えが。そういや、ベルナートか、あいつ。倉庫街のフィリストんとこの。監視だったな、そういや。
あの手紙を読んでくれたごわごわさんは、凄い張り切っているらしい。
旧友から貰うってのは槍の事だろうか。教えて貰える日が、楽しみだ。


【町の入り口(リヴォ)、十六夜、マクナーリア、ヨハネ、ヴァイス】

8/24

やってきましたアイズと一緒に開催、ドッジボール大会!
こういう感じの催しやるのは二回目だったか。去年は闘技場で模擬戦みたいなのをやったんだった。
今回もそれなりに人来てくれて良かったぜ。

しかし、まァ………… 何だあのカオス。
カオスボールの効果半端ない。あそこまでとは。みんな別人と化していた。

参加してくれたのはヨハネ、マクナーリア、マリー、リウ。みんな知り合いだったな。
リウは来るなり早速転んでたな…。あれがいつもの事なんて、辛くないのだろうか。ギルバさんという呼び方は新しすぎる。ごわごわさんはギトルさんで、アイズはアイザさん、だって。
水着推奨って書いたし、勿論みんな水着。マクナーリアとマリーはビキニだった。ヨハネとアイズが顔赤くなってたな。オレはあれだ。海水浴場の仕事もあったし実際に泳ぎに行ったりしたしで慣れた、のだろうか。わかんねェな。でも、ポロリは、うん。やっぱりダメだ…!!
リウは最初見学のつもりで水着ではなかった。だけど、リウが入れば丁度三対三になるって事でアイズが誘って。んで、くじで分けたんだ。

リウが最初、「こんにちハブ」と言ってスっ転んだのが由来だったか。
オレ、アイズ、リウのハブチーム、と、
マクナーリアが「それならこっちはスワンだ」つって、
マクナーリア、ヨハネ、マリーのスワンチーム、と、
分かれる事になったんだ。
マングースチームだったら、食われるところだった気がする…!!
アイズもポニーテールにしてやってきてくれたし、ヨハネもポニーテールにしてあげたら、銀髪ポニテ三人組が出来上がったのか、そういや。今度結んであげよっかなァー。
考えてみれば、オレって爬虫類じゃん……蛇系じゃん…… え、ドラゴンってそういう系だよな?

くじの数字が小さい人は元外野。ってことで、ハブはアイズ、スワンはマクナーリアが元外野に。
そんなこんなで開始。先攻はスワンチームのマリーから!
まずはリウを狙った様子。そんでリウが避けたボールを、外野…マクナーリアのところへ転がる前にオレがキャッチ。
リウは予めスポーツの本を読んできたらしいが、なんか…違う、ような…… バスケ混じってた気がしてならない! 後、サクラギとかアンザイセンセイって誰だろう!!
投げ返すが、マリーが胸で受け止めた。凄ェ。
そして外野のマクナーリアへパスされて、それがリウに直撃。助けられ、なかった…、しかし、ここでカオスボールの登場だ。ハブチームへと。そして元外野のアイズが内野に帰還。
黒々としたビーチボール……通称、カオスボール…… 恐ろしすぎた。考えたのオレとアイズだけど、何だあれは。恐ろしすぎる。
マクナーリアがヨハネにオレの尻狙うなとか言ってた。どういう事だろう。何かこわい。
アイズが早速カオスボールを投げた。どんな効果が出るのかまじまじと見てて、マリーがそれをバストレシーブで受け止めて……  水着の紐が切れた。 胸が 胸が  おい どういう効果だ、これ
それはもう男性陣一気に顔真っ赤になるよな。だが戦闘不能になっちゃダメだ! あそこでアイズの背中叩かなきゃ、マクナーリアの投げた普通のボールが当たっちまうところだった。通常ビーチボールは外野行きだからなっ。カオスは外野行かないけど!
ここで水着じゃなかったリウの服が役に立ったワケで。
リウからパスされたカオスボール。受け取った途端、ニョタイカとか感じたんだ。多分女に投げたらスルメンズ。マジかよいきなりそこまで行っちゃうか!!
やけくそでヨハネにぶん投げた。当たって、女の子になった。そうだよ、男の水着は上半身ないんだって!  やばい、 胸、
猫少女なヨハネに睨まれちまった…!! わ、悪かった。正直悪かった。

そんな中で、だ。スワンにもカオスボールが投入されて。
マクナーリアからのカオスボールをモロに食らった。
やばい。色んな意味でやばい。 水着がズレた。尻が見えた。野郎のとか誰も得しねェしちっとも眼福になるヤツいねェだろこれ!!! マジで誰得ッッ!!!!!
後で話聞いたら「丸見えよりはましだろう」と…… モロになったらオレが自警行きになるところだった、うん…。

ところで。だ。
アイズがマリーのカオスボール食らったんだよ。  …………女。
前にハロウィンでニョタイカ淑女になってたのにだって吃驚したってのに…!!! しかも胸が、胸が アイズが   リウの服は猫少女ヨハネに渡して、もうなかったみたいで。
思い出しただけでもクラクラしてきた。 惚れるぞマジで。惚れた。何かまた鼻血出そうだぞ何とかしろ。実際出た。
だけど、すぐにオカマ口調になってた。女のままマッチョ化してた。下半身が蛇になってラミアだった。カオスだった。最早誰だお前状態。
オレは女アイズにぶっ倒れた隙にボール食らって外野に。
気が付けば、オレとリウ以外全員女っていう展開に。す、すごい……

マクナーリアには猫耳が生えたり、語尾に「にゃん」が付いちまったり。いつだかの自警にゃんを思い出すワケだが! 懐かしい気分になった。
その次は笑い上戸になって「にゃはははは!!」と猫っぽい笑い声出まくってたし、
マリーは人魚になって、海のコートしか泳げなくなって、そこを外野から狙ってはみたがかわされた様。なんかマリー、胸で浮いちまってたな…!
そんでアイズの方はさっきの通り超カオスな姿になってた。
みんなもうめちゃくちゃだった!! 凄いなこれ!! カオスボールパネェ。流石カオスボールだパネェ!
オレとリウぐらいだったか、一切変化なかったの。しかし水着ズラされたのは地味に痛いダメージ。あ、精神的にな。
後半はもう接戦だ。カオスな状況の中で接戦だった。途中でカオスボールは普通のビーチボールになって。
そしてアイズが当たったところで、試合終了。カオス効果も解けてみんな元通り。

マクナーリア、ヨハネ、マリーのスワンチームの勝利! みんなお疲れさん、そしてスワンチームの三人おめでとう!!
みんな頑張ってたし、MVP賞のスイカは分ける事に! ヨハネが割ってくれたぜ!
かき氷もアイズが配ってくれて。 オレのは今度こそ、酸っぱいレモン味にしてやったぜェ!!

リウは何気にかき氷初めてだったらしい。
一気に掻き込んだら頭キーンってなるって! 転んだ時より頭痛らしい……大丈夫なのか…! 背中さすってみたけど、アイズに突っ込まれた。やっぱりこれじゃ意味、ないか?
リウは酒、ダメなのかなァ? エールかき氷は一発で頭痛なっちまうって。

持ち帰りもOKって事で、オレは半分持ち帰りー。リコスの調子はどうなんだろう、そういや。マクナーリアが土産に持ち帰るつってたけど。
アイズとヨハネのマッチョ計画…… 二人ともマッチョにならなくて良いよー! オレ的には今のままが好きだ…!

騒動も沢山あったが、とても楽しい大会だった。
夕方まで全力で遊んだ。もう、つっかれた! だけど、この疲れが心地良い。
良い休暇になったな。来てくれた奴等、本当に感謝!!
また、こういう事、出来れば良いんだけどな。…暫くは、忙しくなる。

……さて。
また……仕事、か。


【ヨハネ、マクナーリア、マリー、アイザック、リウ】

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