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図書館、資料館に書き溜めてきた日記やSS(小説)を保管するところ。
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8/20

ついにやってきた花火大会!
珊瑚礁の小島で約束した旅行。やっとこの日が訪れた。節約して、臨時収入も受けて、資金もばっちし用意。
約束の通り、オレは黒髪にして藍色の浴衣で、アイズは緑色の浴衣で。お揃いポニーテール!
着いてから昼間はパレードとか見て……夜。花火目当てか客も一段と増える。始まるまでの間、露店を見て回る事に。
確かに黒髪は夜の闇に紛れちゃいそうな色。でも、はぐれなければ問題ないだろ! 手を繋いで歩いていく。

青いリボン貰ったら手首にでも結んでみようとか、ブローチは梟なんじゃないかなんて話をしながら。
喉乾いたなーってなわけで、ジュース屋さんへ。色々な味を混ぜて、幾つもの層を作れるという仕様みたいだ。オレはレインボーにしてみた。
オレンジとメロンとレモンとリンゴとブドウ、サイダー、氷。
アイズがメロンソーダとコーラ混ぜてて、その上にアイス乗っけてフロートっぽくしてたから、オレもかき氷の氷をちょこんと乗せて貰った。その名も、「ミックスフルーツサイダーかき氷」!
ミックスジュースの味にしゅわーってサイダーが来て、おまけにしゃりしゃりの氷はめっちゃ冷たいし、最高の味だった。
お互いにジュース差し出して飲んでみたりとかも。アイズのメロンソーダコーラフロートも美味いのなんの!

オレの言動がたまにストレートすぎる、らしい?
そら、ずっと一緒で居たいし、居るつもりだし……だから「ずっと一緒」だろ? でも、そう言われるの慣れてなくて照れるって……じゃあ、慣れちまえば良いじゃん!そんな事を言ってみたけれど。何かますますアイズ照れくさそうにするし、途中、ちょっと微妙な空気になってしまった。嫌じゃないなら、良かったんだけどさっ。

そうして次見つけたのは、魔法くじ。
青色のくじをオレは引いた。アタリらしく、カラフルな蛍柄のハンカチが貰えた! なかなか可愛らしい。
そんでアイズも引いてみたんだけど……黒色のくじ。ハズレ、みたいだった。不運、なのか……。だけど。
そう、青と黒。アイズとオレ。みたいな色に! ほんっとに偶然の一致。凄すぎるよこれ!!
記念にくじもお持ち帰り。

更に見つけたお店は飴細工屋。観桜会とかにも同じようなのがあったな。
観桜会のは頼んだら好きなの作ってくれるってやつだったが、ここのは完成品も並んでいるらしい。
その中に…… 竜とペガサスが。隣合って。
竜と、ペガサス。 ドラゴンと、ペガサス。 ……オレと、リーア。にしか見えない。
運命を感じないわけがない! 吃驚したし、感動したし、すっごい嬉しかった。全力で買った。オレはペガサスでアイズは竜を。
綺麗に出来てるし、食べるのが勿体なさすぎる。

来年一緒に観桜会の飴細工を買いに行ってみようってなって。休暇取って、私服で。
同じ日に同じ場所。来年の4月3日、桜の木の下。
オレとアイズが付き合って、一年。とても特別な記念日に。
約束は、必ず、だ。叶えさせる。
……その頃、オレらはどうなっているんだろう? 予想が付かなくて。その日は、晴れると良いな、なんて思う。そん時はまたてるてる坊主でもいっぱい作っとくか。

露店を楽しんでいるうちに花火大会の時間ももうすぐ。
霧もある森の方も見てみたかったってそれより前に言ったら、リーアに乗って行ってみるか?って。
アイズがリーアを呼び出して、光に包まれてる中、急に身体が浮く感じがして、気が付けば。もうリーアの上で、飛んでいた。
あっというまに。賑やかな街中から空へ。ちょっと曇っちゃってるけど、星や満月も隙間から見えるし、目的の森の方には蛍が飛んでた。七色に光るんだな、リリアンドルの蛍って。
静かな空間は、やっぱり好き。前に昼飛んだ時とはまた違ってて。
打ちあがった花火は、いろんな形や色のものが。ハートもあったし、馬の形が走ってたり梟の形のが飛んでたり……変わった花火もあったな。大きかったり小さかったり。とても綺麗だ。
節約している間、腹も減りやすかったし、そこは辛かったけれど。アイズと二人で居る、この瞬間が、ずっと勝る、何倍もの何十倍もの幸せ。何度も噛み締める。

花火が終わった後にリーアにペガサスの飴細工を見せてみたら、嬉しそうにしてた。そんな姿見てると、ますます、惜しくなる。観桜会で、また買おう。保存出来れば良いのになぁ…。
最後まで、とてもとても楽しかった。
今月も残り10日と少し。……もうすぐで、夏も、終わる。
終わらなければ良いのに、なんて、思ってしまうんだ。


【アイザック】

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8/16

詰め所に一通の手紙が届いていた。
差出人の名には驚くしかない。……何の目的で、オレを?
あの日暁の草原に届けられた荷物には、自警団宛てとしかなかったはず。まずは、何故オレ個人を知っているのか。前から知ってたのか? 会った記憶は…ない。
けれど……、オレもあいつと話が出来ればと思ってた。向こうもそのつもりか否かは、真意も、わからないが。
行って、みるか。

裏庭で手紙を読んでいたら「サボりか」って中のヤツに言いがかりつけられたから、仕方なしに戻る。
こないだバートレット隊長が遠征から帰ってきたって聞いた時、すっごく嬉しくて。だけど、未だに挨拶出来ていなくて。ごわごわさんともゆっくり顔合わせる時間もなくて、パケットの手紙も渡せずじまいだ。デスクに置いておけば気付いてくれるかな?
二人の事聞いてみたら、隊長は裏庭にいたらしい。小雨降る中、ヴァイスの「今日も元気にわんわん体操ーっ!」って声が扉の向こうから聞こえて、相変わらず元気だなって微笑ましくなる。思わずオレもわんわん体操ってノっちまったワケだが。
扉を開けて裏庭へ戻ってみれば――確かにいたんだ。ベンチに。バートレット隊長が!
それはもう走った。そう遠くない距離だけど、いち早く隊長のところに行きたくて走った。
怪我もなく、お変わりなく元気そうな姿だった。良かった。きちんと挨拶も、出来た。

"他人の傷に目を向ける時は、気付かれないように悟られないように、全体で見る。"
隊長が教えてくれた、捜査で役に立つ術。勉強になるな、本当。
難しそうな感じがしちゃうけど、お前なら出来るって言ってくれる言葉が沁みる。出来るように頑張らなきゃ。
もう、本当、隊長の元でまた学べるのが、嬉しくて仕方ない。ごわごわさんやアイズはもう会ったのかなァ。
帰還した直後であろうとも、仕事が舞い込んでくるのはやっぱり職業柄仕方ないの、かもしれない。アイズも出張が何度も続いちゃうワケ、だし。隊長は書類を持ってた。大掛かりな仕事があるかもしれない、と。…命令とあらば、いつでも。何なりと。
アズが午前中書類作成をやってくれてて、出来上がったって裏庭まで知らせてくれた。サインは休憩の後に書く事に。
丁度、隊長といたところ。オレも前に第六捜査隊の紹介したし、タイミング良かった。直接隊長と話した方が、方針もわかりやすいだろうから。
すっかりハンカチを返し忘れていた事態。悪かった。オレなりに頑張って洗って畳んだだぜー?

隊長からずっと聞きたかった事も聞く事が出来た。二、三か月前のあの日。裏通りで放火犯を追う中、あの内通者の自警に襲われて、翌日目が覚めた診療所でオレは確かに隊長が殉職されたと聞いていた。首元の酷い怪我は、気を失う直前に見ていた。…あの後助からなかったのだと、思っていた。失うのは、やっぱり、恐くて、恐くて、恐くて。耐え切れなくなって、背中が痛かろうが構わず病室から飛び出して、雷雨の中庭で、泣いてたんだ。そこで見舞いに来てたらしいアイズが探し出して見つけてくれて、オレの話も聞いてくれて……遺志継いで、前向いていこうって決めた。でも、その日は。一緒に、泣いた、んだっけ。
だけど、ある時の報告聞いて、実は生きてるんじゃないかって、思って。でも信じがたい事だとも思ってた。けれども、確かにあの日から一度も対面はしていなかった。話しか聞いてなくて、亡くなった姿すらも自分の目では見ていなかった。
それで、ラクリモーサの会議の時に、隊長が現れて…… 会議終わった後、あの時は、もう、失ったと思った時以上に、涙止まらなかった。
でも、何故、殉職という報告が出ていたのか。ずっと解らないままだった。
当時の事件、ヴァイスの再調査、赤禍ツの呪いの証明、処分の正式決定、詰め所の放火…犯人と繋がっていた内通者の自警。
――敵を欺く為にはまずは味方から。殉職したという事にして存在を完全に隠してしまい、オレらが表で外部の犯人を捜査している中、隊長は内部の調査を水面下で行う。実際に内通者もいたから、証拠を抑えてしまおうと。先手を取る行動。
すとんと、腑に落ちた。隊長らしく、大胆、だけど、筋の通った捜査。
聞けて、良かった。
…あ、 今、思い出した。……放火犯一人捕まえた時の倉庫街。確か。ごわごわさんと知り合いらしかった、あの潜入捜査員…… あの時は、顔、見えなかったけど、まさか?

三人でいたところ、塀の向こうから気配がした。大きなものと、小さなもの。あれは、確かに。
裏庭へ投げ込まれたものは、手紙。危険物でなく仕掛けもなく、至って普通の、手紙。けれども、突如投げ入れられたもの。警戒薄く、迂闊に近づいたのは、軽率だったか。
"異変にはすぐに警戒、確認。初動捜査は、重要な事。それが遅れれば、解決も遅れてしまう。"
最近は大きな事件もなかった。どこか平和ボケでもしかけていた、のか。洒落にならない。…気を付けないと。
こないだはノキエルの使い魔が詰め所内に、今回はルインが塀のところまで、来てたわけなんだから。
不注意や油断は 死を招く事だって

ヴァイスが即座に塀の方まで出動、した時にはもうヤツの気配も感じなくなって、ヴァイスが見た通り姿も消えていたようだ。
何気に初めて詰め所外での仕事だったらしい。隊長からヴァイスにあげろってご褒美らしい骨っこ渡されて、そしたら当の本人凄いキラキラした目してたもんだから。つい、「待て」って意地悪ってかお預けしてみた。そしたら、おすわり……正座してじっと待ってた。本当に犬みたい。いや、犬獣人だけどよ。思わず笑っちまった。すると段々涙目になっていっちゃうし、ずっとお預けも酷いからちゃんと渡した。咥え方がちょっと変わってたな。

気配の主、ルインからの手紙の内容。
マーシレスと名乗る「悪党」が裏通りに。悪党を皆殺しにする、らしい。隊長と話がしたいと、連絡先も付けていて。
殺すのは本当に悪党のみなのだろうか。罪のない市民もやられてるならば、それこそ問題だが……本当に悪党だけならば。……いや、それでも……賞金首を狩るだけでなく、他の悪党も勝手に殺している、なら殺人犯に代わりは、ない、か?
逆に治安が乱れる結果にもなる、と。
実態をまず知らなければならない。

久しぶりの隊長からの命令。
この手紙に関する初動捜査。
「マーシレス」が本当にいるならば、相当な実力を持っている可能性。
ヴァイスを護衛と援護に。
初動捜査をし、問題アリならば、一班でアイズの指揮の下、本格的な捜査へ。
しかしながら、マーシレスの特徴も何ら解らない。裏取り。ルインへ接触、情報を引き出す交渉。
マーシレスの情報。ルインの真意。 まずは対話。しかし、戦闘の意思を見せた時は、捕縛に。
手紙では隊長を指名していた。だけども、"いきなり全ての条件は飲み込まない。""最初は一歩寄り添うだけで良い。"……まずは、オレが向かう事に。護衛と援護をしてくれるヴァイスも同行。
隊長と話を、という要求を飲み込まないで行くわけだ。オレの交渉が上手く行った回数だってまだまだ少ない。正直、不安。
アイズやごわごわさんの方が出来ると思っている。けれど、隊長は「お前が捜査隊の一歩を踏み出せ」って。…出来ない奴にやれ、とは言わないと隊長は。
アズやヴァイスからも「責任重大」だとか「出来るよ」とも……荷が重いなぁ。
重くのしかかる。そんな感覚に襲われるけれど。

やるしかない。
出来るって思えば……出来る。絶対とは言えないけど。きっと。
オレなりにやるしかねェ。
始まりは、願う事からだ。

アズも捜査隊の仲間に。まだ、正式ではないのかな?
隊長が引き込む姿……やっぱり、隊長は凄い人だ。どこまでもついていきたい人。期待に応えられるように、頑張りたいな。
昼食まで奢って貰ってしまった。節約生活中のわりには、意外と食べられてる。いや、話はそこじゃないんだけどよ。

……さて……ルインへの手紙、か。…駆け引き。
どんな風に書こうか。下手したら会ってすら貰えなくなってしまうかもしれないから、書き方気を付けないと。アズも同行しても良いって言ってたけど……どうしようか。オレよりずっと交渉上手い、だろうし。だけど、人数があまり多いのも、か。


業務終わって、夕方、帰ってから。
自室にある東洋人形が怖すぎて眠れない最近。何であんなのがポーチにいつのまにか入っていたか、本気で解らない。まさか誰かが……? いや、それとも、勝手にあの人形から入り込んだ……?
…いい加減そのままにしてても。思い切って捨ててしまおうかと外へ持ち出した。けど、普通に捨てたらバチ当たりそうだ。怖い。
って事でどうすべきか悩みつつ、商店街へ差し掛かったら、オレが持ってるの見て「売ってくれ」なんて言う人形?コレクターらしき奴と会った。
結構、良い物らしい。高くはないけど、安くもない値段で買ってくれた。
これで旅行資金もそれなりに。また忙しくなりそうだし、20日くらいは……ゆっくりしたい。


【バートレット、アズライト、気配(手紙)、ヴァイス】

8/12

アイズと一緒に近郊にある屋敷の呪いを解くというクエストを受けてみた。

こわかった。
怖い。恐い。予想以上。
お化けなんて恐くない、なんて見栄張らなきゃ良かったよ!! 叫んでばっかじゃねェか!!!
なんて情けない自警なんだと思われたに違いない。
開始早々グリンが言ってた、哀・ザクが気になって仕方ない。アレなのか。死神の列が。屋敷を走っていくのだろうか。とここまで考えててまた怖くなってきたぞ!!
グリンやカルディアやジルがあそこにお化けいるとか後ろにお化けいるとか言うし、リウだったか人狼伝説とか聞こえたし、みんな叫ぶし、恐いよ!
怖いなら手を繋げば良いんじゃないかというパケットの声に全力でアイズと手繋いだ。そしたら真っ先に屋敷の中に押し込められた。
面白がらないでくれ! ホントホント! お迎えなんていやだぁああああ マジで恐いんだってえええ

まずはその屋敷に入る為のクイズ。
第一問「花を育てるのが苦手な鳥」
「カラス」だった。枯らす、か。わかんなかったわ……。

他のみんなが答えた途端、扉が開いた。中はヒヤヒヤしててなんかもう

見取り図でも見る限り多い部屋数。
一階は「寝室」「書斎」「風呂場」
「階段」を経由して、
二階「子供部屋」「クローゼット」「トイレ」
つまり、全部でエリアは7つ。
ジャンケンでチーム分けする事に。一発でぴったし綺麗に三人ずつ三班に分かれた。
オレはグリン、ヨハネと一緒に出発。まずはヨハネの要望、「子供部屋」へ。
二階にあるから階段を昇ったんだ。先に行ってたアイズが騒ぐからうるせェつってたら、

――――女の子の絵がこっち見てた。
階段の壁にかけられていた絵が! 女の子が! こっちを! こっちを!!
「こっちみんなァァ!!」とは今だから叫べる気がする。あん時はぎゃああああああああああでしかなかった。
しかも、アイズが見た時は女の子うずくまってたっつーじゃねェか!! 絵変わってる!! マジで恐いよ何なの!!!
最早お家帰りたくなる。

なんやかやで子供部屋に入ってみれば、人形が沢山。東洋の女の子の人形が。
そいつらの髪が伸びてヨハネを捕まえてっっ……こええええええええ
けど、動揺している場合じゃなかった。ヨハネが危ない…!! グリンと背中合わせで問題の答えを考える。
第二問「いつも片目を瞑っている生き物」
片目といえばウィンク。と思ったが、的外れだったようだ。
グリンが答えてくれた「カタツムリ」が正解。片目瞑る、かたつむり。オレはやっぱり全然わかんなかったわ……。グリンマジナイス。
お化けは成仏? 浄化されたみたいだし、ヨハネも無事で良かった。
だけど、浄化された途端、人形が一気にばったんばったん倒れるから怖かった!!!!

階段に行ってみようつったのはオレ。二階はもうみんな浄化されたらしいし、どうせ階段は通るところだし…! あの絵が怖すぎるけど!!
そして階段へ。そういや、かいだんと言うと、怪談とも書くよな。 ……。
例の絵には、誰もいなかった。女の子いない。空っぽの部屋の絵だけが。
今度はグリンだけが階段を滑り落ちていっちまって……その下にあの女の子が。このままじゃグリンが引きずり込まれちまう状態に! うわああああ
ヨハネと一緒に答えを。
第三問「壊してもバラバラにならないが、痛いもの」
これは意外とすんなり思いついたんだ。腹を壊す、けど、バラバラにはならない。だけれども、痛い。腹痛。「腹」
すると階段が止まって、グリンも無事。女の子の絵も笑っている可愛らしい姿になった。良かった。浄化された様子。

初めて正解出来た!! わかったのが嬉しすぎて怖さが吹っ飛ぶってもの。
残りは一階の書斎の雰囲気。つ事で三人で向かったワケだ。
書斎には本が沢山。まるで図書館みたい。
本棚の中のうち、一冊だけ動いているヤツが。この時点でまたこわくなってきた。
グリンが取ってくれたその本には読めない文字が連ねられてて。グリンが本棚の隙間見てて凍り付いてたから、オレも見てみたら、
無表情な男の顔がジッとグリンを見てた。
顔だけとか顔だけとかこええええっっ!! そんな中でアイズ達他の二班も駆けつけてきたのを見ているうち

そしたら何かもう動けなくなって喋れなくなってあれは金縛りなんだろう耳元から
「イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ」
囁き


真っ白になった


確かカルディアとクロリスも同じようになってて。
第四問「パンはパンでも身につけるパン」 第五問「幾らよんでも全く返事をしないもの」
みんながすぐに答えてくれたから助かった。本当に助かった!!! 「パンツ」「本」がアンサーみたいだった。

金縛りは解けて、全ての部屋が浄化完了されたらしく。
普通の屋敷になったみたいだが、当然ながら記憶は残っているもの。

恐かった。
こわかったんだって。
何回書いてるか数えてないけど怖かったんだよ!!! 恐怖ッ!!

ヨハネと同じく夜眠れるか自信がない。
グリンが去り際書き残していったのは、最後の問題。「私はまんまる。しかし常にまんまるではない。私は誰」
屋敷の外の夜空に浮かんでいるのは 「月」。
……なるほど、な。
こうしてクエスト完了。事件?解決。貰った報酬でアイズと一緒に飯をたっくさん食いに行った。おつりは旅行資金にすれば良いかな。
腹いっぱいで満足な気持ちのまま自室に帰った。
荷物を整理しようとポーチの中身ひっくり返した。
子供部屋にあった東洋人形が出てきた。
心臓止まりかけた。

ちっくしょおおおおおお何なんだよおおおおおおおおお!!!!!!!


【洋館、ジル、アイザック、ヨハネ、グリン、カルディア、パケット、クロリス、リウ】

8/11

「店で食べていきなよ」ってジルから手紙が来て。ついでに前言ってたルースのお袋さんにシュークリームの作り方を教えて貰おうという事で閉店後の時間にお邪魔を。
街中の風景も良く見える庭。花壇の花も空も昼間来るときとはまた違う雰囲気だった。夜空の中のドラゴン便の翼が何だか印象的で。飛竜を見るのは別に初めてじゃないっていうのに。
ジルは、ちゃんと店の整理整頓出来てっし、あんな美味い料理も作れるし、見せる表情も昔とは随分違う。全体的にも柔らかくなったよな。
オレの為の特別メニュー、だって。本当に好きなヤツばかりだった! 激辛大盛カレーとポテトスープと烏龍茶、…カレーに切り分けたステーキ入れるのはナイスアイデアすぎる。
いやもう、めっちゃ美味かったっっ!!
激辛の味見は辛い物好きのハーフエルフの店員さんにしてもらったっぽい。今度その人見つけたら全力で握手求める。

大人になったら、店を継ぐって夢。親父さんが退院したら、学院にも通う予定らしくて。
本当、幸せそうで、良かった。
過去のジルは、昔のオレのように見えていた。黒髪だから、だろうか、どこか雰囲気も似てた気がする、し、……それよりも、人の優しさを拒んでいた姿が。
今はもうそんな事もなく、安心している、けれど。
……また、重なってしまった。……学院、か。
オレも今のジルよりは少し歳低かったけど、確かにあのぐらいの年代で。 でも、
うん。大丈夫、だよな。向こうでも楽しく過ごすってきっと。オレも今はたまに学院に寄る。けど、あの時のようなのは見かけてないし会ってないし…奴等の姿も、未だに見てはいない。奴等が、今、どこで何をしてるかさえも、知らない。
あいつも良い友人に沢山恵まれると、良いな。そして色々学んで行けば良いと、思うんだ。

幼いジルを世話してたシームもモラも無事に冒険者をやっているようだ。こないだ、ハミングフラワーに来たらしい。
二人も元気らしいし何よりだ。また、会えれば良いんだけどな。幼い頃のジルについて色々聞いてやろ。聞くなよ、って言われたら逆に聞きたくなるぜ。
恋人の手作り料理は美味い。これには全力で同意する…!

今日は代金払わなくて良いって。節約中の今、本当にありがたい。だけど、あれだけ美味くて量も多かったし、申し訳なくもあって。金に余裕が出来たら、がっつり注文してやろう。
食べ終えた後は、約束通りシュークリームの作り方も教わった。
デザートのバリエーションももっと増やして行かないとなァ。

(下には、聞き出したシュークリームの作り方のメモが走り書きで細かく書き込まれており。)


【ジル】

8/8

暑い。
デスクワーク押し付けられるだの、涼しくなるあの魔導機器も使えないだの、耳元で虫も飛んでやがるだの、もう沢山。
耳元で飛ぶのは卑怯だ。耳を刺すのも卑怯だ。ちくしょう、あんの虫。潰してやった。
その潰す音と共に「襲撃ー!」と叫ぶヴァイスが通りがかった。ついでに「お昼ご飯だー!」とも言ってた。実際に襲撃はなかった。…暑い中でも元気そうだったなァ、あいつ。オレよりもずっと暑いだろうに。
きょろきょろしてたら、受付の方にブルーがいた。どうやら落し物……いや、忘れ物の届け出らしい。
落とし主は知人だと言うから、そいつの事聞いてみたら ラゼットだった。黒兎獣人っていうから間違いない。
会いに行ってもいないから、自警に、と。
忘れ物の内容は、武器。見た事がある、ラゼットの武器だった。細いのとでかいのと変わった模様のと、三つの剣。

ラゼットとはこじれてる……喧嘩中、らしい。何があったのか、最初は解らなかったけれど。
武器を忘れる理由。そう、あいつが簡単に武器なんて忘れるだろうかって思った。
……置いていかざるを得ず、代わりに別のものを持って帰らなきゃいけなかったのではないか、と……
盗難届が出されている品物。……猫獣人の女の子。ブルーが、あの女の子を? それでラゼットがさらった?
けど、場合によっては、盗難届を取り下げると言った。
女の子を返すか、正式な取引をするか。取引っていうのは、買う、という事? けれど、このまま音沙汰がなければ、それこそ何もなかった事にして……取り下げる、って。
…このまま、二人の間に何もない事を祈る自分がいる。何もなかった事になれば、あの女の子はそのままラゼットのところに、という事になるんだよな、多分。まだ幼い子だ。もしかしたら、自由に暮らせるようになるの、かもしれない。…いや、その子をどうするかは、ラゼットはまだ考えてなさそうだった、けれど。あいつ次第、か。そもそも、あの子に身寄りはあるのだろうか? ここらの言葉遣いではないようだったけど。
何事もなく、終わったなら。約束してた、オレとラゼットとアイズの三人でのピクニック。一緒にカレー食べに行きたいよ。折角だから、その女の子も連れて来れば良いと思うんだよな。カレー、食べた事あるのかな、あの子は。
けど、この件が終わっても……セシリアとの事も、ある、のか。 ……
まずは、あいつに会ったら、武器の届け出について伝えておくか。

あの窓や壁を這ってたトカゲは、ノキエルの使い魔、だな。こないだもルインの蜂を見かけたばっか。わりと、見られてるん、だな……。
しっかし、もう、堂々と詰め所の窓へ手を振りやがってあんのやろおお……!! トカゲにもまた逃げられたし、結局何も出来なかった。襲撃はされてないから、まだ良い、けどよ。
小動物が苦手な気持ちはわかるぜ、ブルー。すばしっこくて、ちょろちょろ、……ネズミ…………バレンタインの、チョコ棒………… 思い出さなくていいよオレ!

品物。取引。商売、…………、 
でも、なんだか、話をしていて、あいつ自身の事もわかってくれているような感じ、だった。オレらの職業、というのも。表と裏、堅気と、 ……難しいし、複雑、だよな、やっぱりさ。
ラゼットの武器を届けてくれた事には、感謝を。

気が付けば、昼休みも終わっちまいそうだった。やばい。
今日の昼飯は、自炊の残り。自室から持ってきたオムライス弁当食った。


【ヴァイス、イェンス、トカゲ】

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